お菓子作りをするとびっくりするのが使うバターの量。 普段何気なく食べているクッキーに、こんなにもバターやマーガリンがつかわれていると思うと、怖くなることも…。 クッキーやケーキを作るときに欠かせないバター。 お菓子作りにたくさん使われるバターの役割は一体何なのでしょう。
コクや風味を加える
バターの乳脂肪分は80%以上で、独特の風味とコクがあります。バターを使うことで、コクのある濃厚でおいしいお菓子ができます。
サクサクさせる
バターを大量に使うクッキーがサクサクするのもバターのおかげ。バターの油分が小麦粉に含まれているグルテンをできにくくし、サクサクとした軽い食感にしてくれます。
クッキーを作るときに、バターが白っぽくなるまで混ぜるのは、空気を含ませて、サクサクした食感にするためです。
パイの層を作る
バターは粘土のようにやわらかく伸びるので、折り込みパイの生地と生地の間に入り、きれいな層になります。クロワッサンのサクサクの層ができるのもバターのおかげ。
きれいなパイの層を作るには、バターが溶けて生地に染み込んでしまわないように温度管理が重要です。バターが溶け出さないように、部屋の温度を低くし、手早く作業を行うのがポイント。バターが溶けだしてきたら、冷蔵庫で冷やした後で、また作業をしましょう。
マーガリンは溶けやすいので、折り込むのがさらに難しくなります。
ちなみにフランスでは、両端がまっすぐなクロワッサンはバターを使って作られたもので、三日月のように両端が曲がっているものはマーガリンが使われているクロワッサンだと決まっています。空気を含んでふっくらさせる
バターは砂糖と泡だて器で混ぜた合わせたときに、たくさんの空気を抱き込む性質があるので、きめ細かい、ふくらんだパウンドケーキを焼くことができます。パウンドケーキを作るときには、バターと砂糖を泡だて器で白っぽくなるまでしっかりと混ぜ合わせます。きめ細かい気泡をたくさん含ませるほど、生地を焼いたときによくふくらみ、ふんわりと出来上がります。
バタークリームを作るときも、空気を含ませるように白っぽくなるまで混ぜることで、なめらかでふわっとした食感のクリームになります。
クッキーやパウンドケーキなどを作るときに、バターを常温に戻してやわらかくしておくのは、空気を含みやすくするためです。
常温になったバターとは、指で押すと簡単に沈むくらいの固さになったもの。冷蔵庫から出して、30分~1時間ほどで、ちょうどいい柔らかさになります。
早く常温にしたいときには、バターを小さい角切りにし、ラップに包んで手でもんだり、溶けないように電子レンジで10~20秒単位で少しずつ加熱します。完全に溶けてしまったバターは冷えてもう一度固まっても、風味が落ちて元のバターとは違うものになってしまうので要注意。
保存性が高くなる
バターはほとんど水分を含んでいないため、腐りにくい食品です。バターの割合が多いバタークリームケーキなどは、生クリームをつかったショートケーキなどと比べると長く保存することができます。
バターは 脂質約 80%、水分 約16%。パウンドケーキやクッキーなどバターの割合が多く、水分が少ない焼き菓子は常温でも長く保存することができます。
ただし、手作りのお菓子はおいしく食べるためと、傷んでお腹を壊さないようにできるだけ早く食べるのが原則。手作りしたパウンドケーキやクッキーなどの焼き菓子の日持ちは冷蔵庫で保存して5日ぐらいです。
お菓子作りに欠かせないバターには、風味を加えるほかにも、クッキーのサクサクした食感を作ったり、ケーキをふわふわにしたり、パイの層を作ったり、さまざまな役割があります。 役割を知っていれば、お菓子作りも楽しくなりますね。