バターは4種類
まず、バターには食塩を加えて作られた有塩バターと 食塩不使用 のバターがあり、バターの原料のクリームを乳酸発酵させてから作る発酵バターとそのまま発酵させずに作る無発酵バターがあります。 つまり、バターには
- 発酵バター(有塩)
- 発酵バター(食塩不使用)
- 無発酵バター(有塩)
- 無発酵バター(食塩不使用)
日本でバターと言えば、無発酵バター(有塩)が一般的です。一方、ヨーロッパでは発酵バターが主流。発酵バターは乳酸発酵させているので、ほのかにヨーグルトの香りがして、コクと風味が増しています。ヨーグルトのようなさわやかさもプラス。 発酵バターをクッキーなどの焼き菓子に使うと、バターの味や香り、風味など違いが際立って、おいしく出来上がります。
イギリスやフランスなどの焼き菓子がおいしいのは、発酵バターのおかげかもしれませんね。 発酵バターが一般的ではない日本では、普通のバターより発酵バターのほうが値段は少し高くなっています。
お菓子作りに食塩不使用のバターを使う理由
保存性と風味を高めるため食塩を加えてあるバターですが、お菓子作りには食塩不使用のバターを使うのが、一般的です。
以前は無塩バターと呼んでいましたが、わずかに塩分を含んでいるため食塩不使用と表示されるようになりました。
お菓子作りには大量のバターを使うので、塩分が味に影響してしまいます。有塩バター200gで3gほどの食塩が含まれているので、かなり味が変わってしまうことに。
さらに、塩には小麦粉に含まれているグルテンの働きを高める作用があります。そのせいで、粘り気のある生地になってしまい、ふっくらした焼き上がりになりにくくなってしまいます。
ケーキなどふくらませたいお菓子は、食感にも影響が出てしまうので要注意。味もお菓子作りに使うとしょっぱくなったり、くどい味になってしまいます。
食塩不使用のバターは保存性のある食塩が加えられていないので、賞味期限は有塩バターよりも1か月ほど短くなっています。有塩バターを使ってもいいお菓子
レシピに「塩ひとつまみ」などと食塩が材料に書かれている場合は、分量の塩を加えずに有塩バターを使ってもOK。
シュー生地や ショートブレッド、チョコチップクッキーなどのレシピの材料にはよく「塩ひとつまみ」と書かれていますね。 スコーンも有塩バターで作っても、おいしく出来上がります。少し塩味を感じたいお菓子には有塩バターを使うとよいでしょう。
ただし、基本的には食塩不使用のバターを使うのがGood!
ブランド別バターの種類と特徴
よつ葉バター
お菓子作りやパン作りに使うバターとして高い人気なのが、よつ葉バター。新鮮な北海道十勝産の生乳を100%使用したミルクの風味とコクが特徴のバターです。原材料は生乳だけなので、ミルキーな味わい。
よつ葉バター(食塩不使用)100g当たりのエネルギー 748kcal
賞味期限(未開封時)は製造から180日
明治バター
国産生乳を100%使用したバター。バターの味が強すぎず、他の素材の味を殺さないのが特徴。パン作りに使用すると、小麦の香りがしっかり味わえるパンに。クッキーなどのナッツの風味も存分に味わうことができます。
発酵バターのほうは、 他のブランドよりもしっかりした味わいで、チーズような濃厚な香りとコクが特徴です。
明治バター(食塩不使用) 100g当たりのエネルギー 760kcal
賞味期限(未開封時)は製造から1080日
カルピスバター
1963年から販売されている高級バターで、白い色が特徴のカルピスバター。カルピスを作る工程で牛乳から乳脂肪を分離するときにできる脂肪分から作られたバターです。「カルピス」という名前がついていますが、 カルピス社が製造するバターという意味で、カルピスの味がするわけではないので安心を。
カルピス約30本分からできるカルピスバターはたった1ポンド(450g)。お値段も他のバターよりも高くなっています。
コクがありながら、後味はさっぱり。焼き菓子にもぴったりなカルピスバターですが、軽いのでバタークリームに最適。上品で濃厚な味わいがありつつ、後味はスッキリしています。
カルピスバター(食塩不使用)100g当たりのエネルギー 759kcal
賞味期限(未開封時)は製造から720日
森永バター
まろやかでコクのある味わいが特徴の業務用バター。 新鮮な生乳が使われており、あっさりしているのに深いコクのある飽きの来ない味。
森永丸特バターは含まれる水分量が少なく、どっしり濃厚。伸びがよく、風味豊かなバター。
森永バター(食塩不使用)100g当たりのエネルギー 753kcal
賞味期限(未開封時)は製造から36ヶ月
ラヴィエットバター
円筒状なのが特徴的なフランス ドゥーセーブル産の AOP良質発酵バター。AOPというのは、アペラシオン・ド・リジーヌ・プロテジーの略で、原産地呼称保護という意味。伝統的な農産物を保護し、品質の高さを保証するEUの制度で、かなり厳しい基準をクリアした製品だけがAOPと認められます。
ラヴィエットバターは無塩で、水分量が少なく、伸ばしやすいのが特徴。香りも飛びにくくなっています。フランス産で、値段は跳ね上がり500gで3000円以上もします。
エシレバター
エシレバターをたっぷり使ったケーキ「ガトー・エシレ」で有名なエシレバター。 100年前から今と変わらぬ製法で、フランスのエシレ村で生産されている高級バター。
なめらかな舌触りと、豊かな香りの発酵バターで、そのまま食べてもおいしい。エシレバターもラヴィエットバターと同じくAOPを取得しています。 1900年のパリ万博での1等賞を受賞しているフランスの伝統的なバターです。
100g約1000円と高嶺の花。 三ツ星シェフや一流パティシエが愛用しているという究極のバター。有塩のものと食塩不使用のものがあります。
高級なエシレバターやラヴィエットバターはおうちでのお菓子作りにはもったいないかもしれませんね。バターそのものの美味しさがはっきりと分かるバタークリームには最適。
よく業務用で売られている450g(1ポンド)のバターはポンドバターと呼ばれています。
マーガリンに比べると値段が高いバターですが、おいしさは格別。使うバターによって、風味が違ったり、生地がだれてベタつきやすいと感じるものもあるので、自分にあったバターを探してみましょう。スーパーに売っているバターだけでなく、発酵バターなど様々な種類のものを使うと、手作りお菓子をランクアップできそうですね。