生地を休ませるのも、さっくり混ぜるのも小麦粉のグルテンのせいだった!お菓子作りに適した小麦粉はどれ?

2017年10月11日水曜日

お菓子作りのまめ知識

小麦粉
小麦粉と言っても、薄力粉に、中力粉、強力粉などの種類がある小麦粉。お菓子作りにはどの小麦粉が適しているのでしょうか。

小麦粉の種類

小麦粉はグルテンの量と質によって分類されています。グルテンとは主に小麦に含まれているたんぱく質のこと。水を加えた小麦粉を練って、水で洗い流して残ったのが、グルテン。麩の原料にもなり、粘りと弾力があるのが特徴です。

原料の小麦が違う薄力粉、中力粉、強力粉

小麦粉はグルテンの量と質によって大きく3つに分類されます。 グルテンが一番少ないのが薄力粉。一番多いのが強力粉です。中力粉は薄力粉と強力粉の中間です。

強力粉にグルテンの量が多いのは、原料の小麦である「硬質小麦」にたんぱく質が多く含まれているからです。 たんぱく質の少ない「軟質小麦」は薄力粉に、「中間質小麦」は中力粉になります。

グルテンが多い強力粉はパンに最適。パンを作るときに使うイースト。そのイーストが発生する炭酸ガスをグルテンが外に出ないように閉じ込めることでパンがふくらみます。グルテンが多ければ多いほどパンがふくらみ、ふっくらと焼きあがるので、パン作りには強力粉を使います。

中力粉は準強力粉とも呼ばれ、うどんに使われることの多い小麦粉です。強力粉よりグルテンが少ないので、ふわふわなパンではなくフランスパンなどしっかりと噛みごたえのあるハードパンに適しています。中力粉は薄力粉を半分、強力粉を半分ずつ混ぜたもので代用することもできます。

パン

お菓子作りに最適なのは薄力粉

グルテンの量が少ない薄力粉はお菓子作りにぴったり。グルテンは粘りと弾力が強いので、ケーキを作るときに使うとふくらむのを邪魔して、焼き上がりが固くなってしまいます。

また、薄力粉は強力粉より粒子が細かいのも特徴で、クッキーはサクサクに、ケーキはふんわり軽い食感になります。

粒子が細かく、グルテンの量をさらに減らした「製菓用薄力粉」も売られています。 お菓子作りに食塩不使用のバター(無塩バター)を使うのも、塩はグルテンを引き締め、生地のコシを強くしてしまうことも理由の一つ。クッキーのサクサク感もグルテンの粘りで半減してしまいます。

スーパーでよく見かける薄力粉フラワーとバイオレットの違いは、たんぱく質の量。バイオレットのほうが、さらにたんぱく質が少なく、粒子が細かい小麦粉です。バイオレットのほうが軽く焼きあがります。日清製粉のサイトでは、スポンジケーキにはバイオレット、クッキーにはフラワーがおすすめされています。

さっくり混ぜる理由

よくお菓子のレシピには、小麦粉を加えたあとに泡だて器からゴムベラに持ちかえて、さっくりと混ぜるや切るように混ぜるなどと書かれています。

練らないように混ぜるのは、小麦粉に含まれるグルテンができ過ぎて、生地が重く、固くならないようにするためです。 逆にパンやもちもちさせたいうどんはグルテンの多い強力粉や中力粉を使ってしっかりとこね、グルテンを形成させます。

お菓子作りの「さっくり混ぜる」や「切るように混ぜる」って何?>>

米粉やアーモンドプードルにはグルテンが含まれていないので、しっかりと混ぜても大丈夫。

生地を休ませる理由

クッキーやタルトの生地など作った後に冷蔵庫で休ませるのも、小麦粉に含まれているグルテンが関係しています。

生地を練り過ぎてしまうと、グルテンが発生して、焼き上がりが固くなり、サクサクとした軽い食感にならなくなってしまいます。 しかし、生地を混ぜ足りないと粉っぽくなったり、全体に水分がいきわたりません。そのため、1~2時間ほど冷蔵庫で生地を休ませることで、全体に水分を均一にいきわたらせることができます。

そして、冷蔵庫で冷やすことによって、生地を伸ばしても元に戻ろうとするグルテンの力を弱めることができます。 冷蔵庫で休ませずに、めん棒で生地を伸ばすと元に戻ってしまい、なかなか広がらないのはグルテンの力が強いからです。そのため、冷蔵庫で休ませずに焼くとグルテンのせいで、焼き縮みしてしまいます。

十分に休ませることで、生地が途中で切れたりするのを防ぐことができます。

クレープの生地を冷蔵庫で休ませるのも、粉と水分をなじませるため。グルテンは冷やすと、伸ばしても元に戻ろうとする力が弱まり、伸びる力が強くなるなります。そのおかげで、クレープの生地を冷蔵庫で休ませるとグルテンの働きで、生地の伸びがよくなってなめらかになり、薄く焼くことができます。クレープ独特のちりめん模様もきれいに焼くことができます。「クレープ」という名前は、焼きあがった表面がちりめん(絹のクレープ織)のようなので、その名がつけられました。

クレープ

ドロップクッキーや絞り出しクッキーの生地を休まる必要がないのは、型抜きクッキーのようにめん棒で生地を伸ばす必要がなく、焼き縮みの心配もないからです。

打ち粉に最適なのは

打ち粉とは、クッキーやタルト生地などを伸ばすときに、生地が台にくっつかないようにするために使う小麦粉のこと。特に指定されていない場合は、強力粉か、生地に使った小麦粉を打ち粉にします。

強力粉は水分を吸いづらく、薄力粉より粒子が粗くサラサラしているので、生地から払い落とすのが簡単です。 薄力粉で代用することもできますが、打ち粉に最適なのは強力粉です。

めん棒でクッキー生地などを伸ばすときは、台や生地、めん棒にも打ち粉を薄くまぶしておくと、くっつかずに作業することができます。 ただし、使い過ぎには要注意。打ち粉をし過ぎると、出来上がりが粉っぽくなったり、固くなってしまいます。できるだけ、薄くまぶすのがポイントです。

容器に移しかえたときに薄力粉なのか強力粉なのかわからなくなってしまったときは、粉を手で握って固まるほうが薄力粉です。薄力粉は粒子が細かく固まりやすいですが、強力粉は粒子が粗くサラサラしているので手で握っても固まりません。わからなくなってしまったときには助かりますね。

小麦粉は使う前にふるう

お菓子作りのときに小麦粉などの粉類をふるうのは、粉のかたまりを取るだけではありません。ふるうことで、粉の中に空気を含ませて、生地をふんわりさせてくれます。小麦粉をふるわずに加えてしまうと、だまになって生地にきれいに混ざらなくなってしまいます。さらに、できてしまっただまをなくそうと、頑張って混ぜるとグルテンが発生し、焼き上がりが固くなってしまうので要注意。

20~30㎝の高さから、空気を含ませるように小麦粉をふるいます。 専用の粉ふるいがなければ、万能こし器や目の細かいざるなどで代用できます。

ふるいいっぱいに粉を入れてしまうと作業がしにくいので、量が多いときは何度かにわけてふるうのがポイント。ふるいを手でトントンとたたくと粉が散らばらずにふるうことができます。最後のほうにだまが残ったら、指で押してだまをなくせばOK。

もっと簡単な方法は、泡だて器で固まりがなくなるようにかき混ぜるやり方。ボウルに粉を入れ、だまがなくなるまで泡だて器でよくかき混ぜます。粉が散らばらず、手軽に小麦粉の固まりをなくし、空気を含ませることができます。

さらに、ビニール袋にいれて振るという方法も。小麦粉などの粉類をビニール袋にいれ、空気でふくらませ、口をしっかりとしめて、シャカシャカふります。 もちろん小麦粉はふるったほうがいいのですが、家庭で気軽にお菓子を作りたいときには便利な裏技ですね。

小麦粉をふるうひと手間で、お菓子に小麦粉のだまが残らず、ふんわりと焼きあがります。

小麦粉の保存方法

小麦粉の賞味期限は未開封であれば、

  • 強力粉 製造から6か月
  • 薄力粉・中力粉 製造から1年

グルテンを多く含む強力粉は劣化しやすいので、賞味期限も短くなっています。 開封後は直射日光が当たらない、湿気の少ないところで保存しましょう。

常温でも保存できますが、ダニが繁殖しやすいので冷蔵庫で保存するのがおすすめ。湿気を吸わないように密閉容器に入れて保存します。 粉の中で繁殖したダニを食べてしまうとアレルギー症状を起こしてしまうことも。パンケーキの粉でよく発生するので、パンケーキ・シンドローム(パンケーキ症候群)と呼ばれます。未開封の小麦粉でもダニが繁殖する場合もあるので、なるべく古くなってしまった小麦粉は使わないようにしましょう。

さっくり混ぜる理由や生地を休ませる理由は小麦粉に関係していました。 理由が分かれば、お菓子の工程も丁寧におこなうことができそうですね。

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はっさく
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